「救急車なう」とは? 救急車1回にかかる費用・有料化のメリットデメリット・アメリカの料金・動画などまとめてみた

画像:暮らし応援委員会

現代のSNS文化の中で、「救急車なう」という言葉が浮上し、救急車が「映えスポット」として扱われることが問題視されています。

日本では、救急車の利用は原則無料ですが、実際にはかなりの経費が掛かっているのです。しかも救急車を運転するのは専門の訓練を受けた消防士です。

救急車有料化の議論は、このような背景のもと進行中であり、そのメリットとデメリットを理解することは重要でしょう。

この記事では、救急車有料化の様々な側面に焦点を当て、その社会的意義と潜在的な問題点を探ります。

記事内容

  1. 「救急車なう」とは
  2. 「救急車なう」に対するxでの反応
  3. 救急車の有料化が検討されている背景
  4. 救急車有料化のメリットとデメリット

本記事は、暮らし応援委員会がお届けしています。

「救急車なう」有料化のメリットデメリットを考えるきっかけに

「救急車なう」とは

「救急車なう」とは、救急車で病院に搬送されている最中に、その状況をSNSで報告する行為を指します。

緊急時であるにも関わらず、軽率な気持ちでSNSに投稿されることが生じ、問題視されているのです。

5月1日にもこんなニュースがありました。

「人生初 救急車なう」搬送中に “記念撮影” する人たちへ 消防局が動画作成「救急車は映えスポットじゃない!」RSK山陽放送

オシャレで、SNSにアップしたくなる写真を撮ることが出来る場所を「映えスポット」などと言いますが今、こんな困ったことが起きているといいます。

引用元:Yahoo!ニュース

実際には、救急車の利用は緊急医療が必要な時のみに限られるべきですが、「救急車なう」と発信されたSNSを観た人から、本当に緊急時なのかと疑問視する声が、ここ数年全国で挙がっています。

緊急医療の必要性もなく、またSNSに投稿する格段の理由があるとも思えないとして、こうした行動は、救急隊員の作業を妨げる可能性もあり、社会的にも批判されているのでしょう。

「救急車なう」に対する反応

「救急車なう」に対する反応をXからいくつかご紹介します。

「映えスポット」としての救急車

救急車が「映えスポット」として扱われることは、あくまで一部のSNSユーザーによる現象です。

救急車内での自撮りや動画を撮影し、SNSに投稿することで注目を集めようとしているのかもしれません。

しかし、救急車は緊急医療を提供するためのものであり、その本来の目的は人命を救うことにあります。こうした行為は、救急隊員の業務を妨げ、他の緊急事態に対応する能力を低下させる恐れはあるでしょう。

救急車で運ばれたら1回いくらかかるの

日本では、救急車を利用した場合の基本的な費用は無料です。これは、国民が緊急時に金銭的な心配なく救急車を利用できるように、政府や自治体が費用を負担しているためです。

ただし、救急車の運用には実際には高額なコストがかかっています。例えば、1回の出動に約45,000円の経費がかかるとのデータもあります。この金額には、救急車の運転、燃料、救急隊員の人件費、使用される医療機器の維持管理費などが含まれます。救急車は特別な設備と高度な医療技術を必要とするため、これらのコストは必然的に高くなります。

救急車の財源は税金
救急車は、国からの交付金や、地方自治体からの補助金などが財源です。

税金を使って救急車の購入やメンテナンス、ガソリン代、救急車に載せる医療機器や物品の購入などを賄っています。1回の出動で約45,000円がかかると言われており、決して安くはない金額です。総務省によると、令和4年度の救急出動件数は約720万件なので、単純計算で3000億円以上もかかっていることになります。年々、出動件数が増えている救急車ですが、病院へ搬送された方のうち、なんと45%が軽症でした。適正に利用するだけで、1000億円以上の節約ができることになります。

引用元:ファストドクター

このコストは全て税金から賄われているため、実質的には市民の負担となっているのです。救急車の出動頻度が高い地域では、これらの経費が地方自治体の財政に大きな負担を与えることがあり問題視されています。

救急車の不適切な使用が増えていることから、一部地域では救急車の有料化が検討されており、その場合の費用負担については今後の議論が求められています。

アメリカの救急車はいくらかかるの

アメリカで救急車を利用する場合、費用は非常に高額です。

救急車の利用料金は地域やサービス提供者によって異なりますが、平均的な料金は数百ドルから数千ドル(数万円から数十万円)に及びます。

例えば、基本的な救急車の利用で$400〜$1200(約63,000円〜189,000円)がかかることもあり、それに加えて走行距離や必要な医療処置によって追加料金が発生することが多いようです。

現在の為替レート(1 USD = 約158 JPY:2024/05/03現在)を用いて換算すると、救急車での病院までの搬送費用は以下のようになります:

  • 基本料金: 約63,200円〜189,600円(400ドル〜1200ドル)
  • マイルあたりの追加料金: 走行距離によるが、通常は1マイルあたり約20ドル(約3,160円)

多くのアメリカ人は医療保険を持っていますが、保険でカバーできない場合、全額を自費で支払う必要があるため、経済的な負担が大きくなることがあります。このため、アメリカでは救急車を呼ぶことをためらう人も少なくありません。

救急車が無料である理由

日本において救急車が無料で利用できるのは、国民がいざという時に経済的な心配をせずに迅速に医療サービスを受けられるようにするためです。これは公共の安全と健康を保障する国の責任の一環とされています。

救急車の無料化は、緊急医療が必要な状況で市民が速やかに適切な治療を受けることができるようにするため、また救急事態における市民の生命を守るための措置として重要視されています。

緊急時に、一度でも救急車を利用したことがある人、また家族が搬送されたことがある人は、この制度のありがたさを実感しているかもしれません。社会全体の安全と健康を支える大きな基盤となっているのです。

救急車を運転しているのは誰なのか?

救急車の運転手は主に消防士です。これらの消防士は特別な訓練を受けた救急隊員であり、救命処置の知識も持っています。

救急車を運転する際には、ただ速く走るだけでなく、患者を安全に病院まで搬送する責任があります。運転中は、交通法規を遵守しながらも、緊急時には特別な走行が許可されています。

このため、高度な運転技術と緊急状況に対する迅速な判断能力が求められます。彼らの役割は、単に運転することだけではなく、場合によっては救命措置を施すことも含まれるため、非常に重要と言えるでしょう。

有料化のメリットデメリット「救急車なう」を避けるために

救急車有料化の主なメリット

救急車の有料化を検討する主な理由は、救急サービスの適切な利用を促進することと言えるでしょう。

無料サービスの場合、軽微な症状や非緊急の事態であっても救急車が呼ばれることがあり、本来必要とする人々への対応が遅れる原因となることが生じているのは、何度も指摘されている事です。

有料化により、不必要な呼出しを抑制し、救急車の資源がより緊急性の高い場合に集中できるようになることが期待されています。

また、救急車と医療スタッフの過剰な負担が軽減される可能性もあります。有料化は財源確保として機能し、救急医療システム全体の質を高めることにつながるかもしれません。

救急車有料化のデメリット

救急車の有料化にはいくつかのデメリットも指摘されています。最も大きな懸念は、費用がかかることで緊急時に救急車を呼ぶことをためらう人が増える恐れがあることです。

本来ならば迅速な医療介入が必要な重篤な症状の人々が適切な治療を受ける機会を逃してしまうかもしれないことが一番の課題でしょう。

また、低所得者や保険未加入者にとって、救急車の費用が大きな負担となり、社会的不平等を拡大させる結果にもつながりかねません。

さらに、救急車の呼び方についての誤解や混乱を招くことも考えられます。これらの問題は、緊急医療サービスの質を低下させる可能性があり、社会全体の健康リスクを増大させることにもなるため、有料化の議論は続いているのです。

「救急車なう」有料化のメリットデメリット【まとめ】

  • 「救急車なう」とは救急車で病院に搬送中にSNSで状況を報告する行為
  • 「救急車なう」が社会的に問題視されている
  • 救急車の本来の目的は緊急医療であり、人命を救うことにある
  • 救急車の不適切な使用は救急隊員の作業を妨げる可能性がある
  • 日本では救急車利用の基本的な費用は無料
  • 日本の救急車1回の出動に約45,000円の経費がかかる
  • 救急車の経費は税金から賄われ、市民の負担となる
  • 救急車の運転手は専門訓練を受けた消防士である
  • 救急車有料化のメリットは不必要な呼出しの抑制
  • 救急車の有料化が検討されているのは不適切な使用の増加が一因
  • 救急車有料化のデメリットは救急車を呼ぶことにためらいを引き起こすこと
  • 有料化は低所得者に大きな負担を与える可能性がある

 

救急車の適切な利用とその有料化の是非は、単なる経済的な議論を超え、社会全体の安全と健康を守るための根本的な問題につながります。

無料で提供される救急車サービスは、すべての市民が緊急時に迅速な医療を受ける権利を保証するものですが、「救急車なう」といった不適切な利用が増えることで、この貴重なリソースが無駄に消費される恐れがあります。

有料化によってこれを抑制し、より効率的な救急医療システムを構築する提案も理にかなっているといえますが、それが社会的公平性を損なわないよう慎重な検討が必要です。

この問題についての議論は、今後も多くの意見交換を必要とし、私たち一人ひとりが救急サービスの価値と責任について考える良い機会としたいものです。

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